設備工事業界の現状とサブコン業界の変化OWNEDMEDIA

設備工事業界の現状とサブコン業界の変化

  • 2024.11.26
設備工事業界の現状とサブコン業界の変化

建設業界では、2013年から続く労務費の高騰や、2021年から続く資材価格の高騰、2022年から続く世界的なインフレの影響を受け、建築コストの高騰が続いています。その中でも特に、設備工事費の高騰が顕著になっており、実際にお客様からも「設備工事費が高い」というご相談を多くいただいています。
本日は、そのような設備工事業界の現状と、それにより変化しているサブコン業界について詳しく解説します。

設備工事業界の現状

全国的な設備工事費の上昇

近年、大都市圏や地方都市における大型プロジェクトの建設が同時期に進行している等の影響で、一部の設備工事の需給がタイトになり、設備工事費が大きく高騰しています。

2014年1月から2024年9月までの東京・名古屋・大阪・福岡における設備工事費指数を見てみると、2014年以降、全国的に設備工事費が上昇し続けていることが分かります。東京都の直近一年に限ってみても、約20%/年の上昇率であり、今後も上昇していく傾向があります。

資料出所:一般財団法人建設物価調査会 https://www.kensetu-bukka.or.jp/

次に、電気・衛生・空調の各設備工事費の推移を見てみましょう。
2019年~2024年9月までの5年間の上昇率は、電気設備工事:約33%、衛生設備工事:約28%、空調設備工事:約17%と、各設備工事において上昇傾向にあることが分かります。

資料出所:一般財団法人建設物価調査会 https://www.kensetu-bukka.or.jp/

設備工事費が上昇している理由

大型プロジェクトの建設ラッシュによる需要超過

大都市圏や地方都市における大規模な都市再生プロジェクトや物流施設、データセンター、半導体工場等の建設が同時期に進行しています。その影響で、全国各地で設備工事の需要に対して供給に余裕がなく行き詰まっている状況が続いています。

メーカーの相次ぐ値上げによる設備機器等の価格高騰

設備工事の需要が高まっている影響で、設備機器等の価格も高騰しています。例えば、4年前の2020年12月と比べて、変電設備は89%の値上げ、エレベーターは83%の値上げと、価格が著しく高騰しています。

資料出所:一般財団法人建設物価調査会 https://www.nikkenren.com/sougou/notice/pdf/currentsituation_pamphlet_2411.pdf

人手不足による労務費高騰

設備工事の労務費高騰の最大の要因は慢性的な人手不足ですが、半導体工場やデータセンター等の大型プロジェクトに全国から設備工事業者が集められていることも労務不足に拍車をかけています。

資料出所:一般財団法人建築コスト管理システム研究所 https://www.ribc.or.jp/research/research3_5.html

設備工事会社の選別受注による経費増加

設備工事会社は慢性的な人材不足や働き方改革等の影響で労務不足が大きな問題となっており、そのため、受注数を制限して利益率の高い案件を選択し、受注する傾向が強まっています。

サブコン業界の変化

ゼネコンとサブコンの力関係の逆転

建設業界は元請けであるゼネコンを頂点に、重層下請け構造が形成されているため、ゼネコンは発注者側としての立場があります。

しかし昨今は、サブコンの繁忙度が非常に高く、対応できる案件が限られているため、利益率の高い工事の選別受注をするサブコンが増えています。

それにより、サブコンがゼネコンに対して請負金額の交渉力を強めており、逆に、ゼネコンはサブコンとの関係を維持するようにサブコンの囲い込みを強化しています。このような状況の変化により、業界内ではゼネコンとサブコンの力関係が逆転しているとまで言われています。

まとめ

このように、①大型プロジェクトの需要超過②設備機器の価格高騰③労務費高騰④サブコンの選択受注によって、設備工事費は全国的に高騰しており、今後もこの上昇傾向は続くことが予想されます。

また、サブコンが力を強めている今、ゼネコンから設備工事の価格交渉は難しいため、オフィス工事においても、テナント様が工事費用を下げてほしいと自社交渉しても下がらない可能性が高いです。

しかし、見積を細かく査定すると、必要のない項目が含まれていたり、過剰な数量で見積もられていたり、単価が相場より高額であるケースもあるため、まずはプロによる見積査定が重要になります。
弊社は無料で見積査定を承っておりますので、是非お気軽にご相談ください。

この記事のまとめ

この記事を書いた人

ディレクター 柳澤 英一郎

Leasing Innovationの設立に伴い参画。B工事のコンサルティング会社で経験を積み、3,000社以上の査定を行っており、大手監査法人の大規模統合移転の退去プロジェクト等の実績を持つ。

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