オフィス(事務所)移転の項目と費用・相場
- 2021.5.19
オフィス移転の費用は大きく「新オフィス構築」「旧オフィス退去」「引っ越し」「諸経費」の4つに分けることができます。
移転のトータル費用は、オフィスの広さ、場所、ビルのグレード、従業員数などで大きく変わりますので、予算を確保するにはシミュレーションも必要です。
オフィス移転をスムーズに進行させるためにも、ご参考になさってください。
目次
新オフィス構築に関係する項目
新オフィス(事務所)構築に必要な項目は、下記のとおりです。
- 新オフィス賃貸借契約費用(賃料、保証金、仲介手数料など)
- 火災保険(地震保険含む)
- 内装工事費用
- 設備工事費用(防災、空調、ネットワーク、電気、電話など)
- 机などの什器購入費用
敷金・保証金
個人オーナーのビルなら家賃3~6か月分、企業保有のビルなら家賃6~12か月分が目安です。小規模オフィスなら敷金は少なめ、大規模オフィスなら多めになります。
敷金は家賃などの債務保証担保として扱われ、保証金は契約内容(特約)によって異なり、敷金と同じ扱いに近い敷金型保証金と、金銭消費貸借契約型保証金があります。
会計処理でも保証金が返還される場合は、「敷金」や「保証金」として資産計上し、保証金が返還されない場合は、「長期前払費用」を使って期末に「支払い手数料」として償却することになります。
また、敷金の場合、賃料に変更があった場合、追加で預け入れるor一部返還されるのが一般的です。
礼金
礼金の目安は家賃1~2か月分です。
個人オーナーの場合に必要となることが多く、企業オーナーのビルでは必要ないことも多いです。
20万円以内の場合は「地代家賃」や「支払手数料」、20万円以上の場合は支払い時に「長期前払費用」で「繰延資産」に計上し、決算時に「地代家賃」や「支払手数料」で償却します。
前家賃
前家賃の目安は家賃1~2か月分です。
仲介手数料
仲介した不動産会社に支払う手数料です。家賃半月分から1か月分が目安です。
「支払い手数料」や「雑費」として会計処理することが多いです。
保証料
保証会社を利用する場合に発生し、目安は賃料+共益費の半月分から1か月分です。
火災保険や地震保険
賃貸物件に入居する際は、火災保険や地震保険に加入することがほとんどです。
オフィスの面積、火災保険の特約、補償額によって金額が変わってきます。
内装・設備工事費用
必要最低限の工事のみとすると坪5万円、造作壁の設置や床材の張替え、OAフロアの導入などをすると坪40万円かかる場合もあり、レイアウトや物件の状況によって大きく費用は変わってきます。
また、工事業者がオーナーより指定されるB工事と入居者が自由に発注業者を決められるC工事があり、契約によってB工事とC工事の内容・範囲が決まります。
一般的にB工事の費用は高くなりがちです。
ネットワーク機器や電話、複合機の移設費用も考えておきましょう。社内ネットワーク移設は、時間と費用がかかる可能性が高いです。どこまで業者に依頼するのかでも費用が変わってきます。
さらに、ハイグレードビルの場合は、入退館システムや空調管理システムの変更費用も発生します。
机などの什器購入費用
机や椅子などの什器を旧オフィスから持ってくる場合と、新品で購入するグレードで費用が変わってきます。
例えば、長時間デスクワークをする従業員のために、アーロンチェアを導入するとなると1脚あたり20万円を超えてきます。一方、安価なモデルを選べば1脚1万円台から選べます。
どのように選択されるかで、オフィス移転の費用が変わってきますので、会社の方針でお決めください。
旧オフィス退去に関係する項目
旧オフィスは賃貸借契約書・特約に記載してあるとおりに、原状回復を引き渡し日までにする必要があります。
また、契約内容と退去時期によって違約金などの費用が発生することもあります。
旧オフィスの退去費用を考える際は、賃貸借契約書・特約を確認することから始めるようにしてください。
なお、新オフィスと旧オフィスで契約内容が異なることは多々あります。混乱しないようご注意ください。
原状回復
原状回復工事の相場は坪3万円~30万円と大きく幅があります。
原状回復の範囲は契約内容によって異なり、ショールーム併設や水回りの変更をしていると坪単価は高め、ほとんど内装に手を加えていない場合は坪単価は安くなります。
また、入居工事と同じように原状回復もB工事とC工事がありますが、一括してB工事として原状回復工事を行うことが多いです。
B工事はビル指定業者となり市場競争が無いことから、高額になりがちです。実際9割を超える企業様が高額のまま原状回復工事を発注しています。
なお、原状回復費用は「修繕費」や「固定資産除却損」「特別損失」「資産除去債務」で会計処理します。処理方法により税効果が変わりますので、よく考えて判断するようにしてください。
居抜き退去
オフィス物件でも飲食店や店舗のように居抜きでの退去も多くなってきました。
オフィス物件の居抜き退去は2通りあります。
- ビルオーナーの了承を得て、新しい入居者を探し、原状回復義務を含めて新しい入居者に譲渡する方法
- 飲食店のようにビルオーナーにそのまま譲渡する方法
どちらの方法でもオーナーの了承が必要です。
居抜き退去を希望しても叶わないこともありますので、原状回復して退去することも頭に入れながら、進めることが必要です。
引っ越し費用は1人あたり5万円が目安
書類や机、PCなどを運ぶ引っ越し費用の相場は社員1人あたり5万円と考えるのが一般的です。
もちろん、運ぶ荷物の量、梱包を業者に任せるか否かでも金額は変わってきます。
なお、荷物の引っ越し費用は「雑費」や「特別損失」で処理することが多いです。
引っ越しに伴う廃棄処分
不用品の処分は「リサイクル会社に買い取ってもらう」「引越業者に廃棄処分を依頼する」「産廃業者に依頼する」方法があります。
廃棄処分を行う場合、廃棄するものを出す側(排出事業者)に法的な責任が出てきますので、適切に廃棄処分できたのか、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を作成し管理する必要があります。
また、情報漏洩にも気を配る必要があります。
書類を廃棄する場合は、情報漏洩しないように溶融処分やシュレッダー処分後に廃棄する、PCを処分する際は、ハードディスクをシュレッダー処分する、SSDはデータ上書き消去する必要があります。ただし、PCのデータ消去は、専門的な知識が必要なため、データ消去業者に依頼することを検討しましょう。
オフィス移転の諸経費に関係する項目
下記に対して移転の届出・申請をする必要があります。
- 法務局
- 消防
- 税務署
- 都道府県税事務所
- 労働基準監督署
- 公共職業安定所
- 年金事務所
- 健保組合
- 銀行
- クレジットカード会社
- 保険会社
- 警察署
- 運輸支局
- 保健所
- 郵便局
- 電話会社
- ネット接続業者
- ドメイン管理会社
- サーバー会社
- SSLサーバ証明書取得会社
例えば、法務局には「株式会社の本店(支店)移転の登記」が必要となり、登録免許税3~6万円かかってきます。
引っ越しの際にどのような手続きが必要かは、業種業態によって変わってきますので、各部署に声をかけて、必要になる手続きを事前にまとめるようにしましょう。
場合によっては株主総会を開催し定款に記載した住所の変更をする必要もあります。
取引先への挨拶状、印刷物の変更
オフィス移転の際、引っ越しの挨拶状の作成、社員の名刺変更、パンフレットの変更、ウェブサイトの変更なども必要です。
各契約内容や発注先により、費用が変わってきますので、早めに見積もりをとるようにしましょう。
シミュレーションで予算を概算しておくことが大事
オフィス移転は高額な費用がかかり、移転計画に漏れが出ると想定外の出費となりますので、移転シミュレーションで漏れが無いか確認するようにしましょう。
また、予備費を必ず予算に見込んでおくようにしましょう。
逆に新オフィスのレイアウトが決まらない、旧オフィスの原状回復見積もりが業者から出ない状態だからといって後回しにしていると、ほぼ間違いなく漏れが出てしまいます。
移転コンサルに入ってもらうとスムーズに
シミュレーション結果、金額が相場と乖離していないか、項目に抜けが無いかチェックするのは、なかなか困難です。入居するビルによって工事内容と金額が変わってくるからです。
移転コンサルに入ってもらえば、予算が現実と乖離していないかチェックできますので、移転業務がスムーズに進みます。
また、高額になりがちなB工事の内容を査定し適正金額を算出し、工事金額の削減交渉材料を作ることも可能です。 相談は無料ですので、オフィス移転をお考えでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
この記事のまとめ
オフィス移転で必要になる項目は?
移転費用とはどのくらいの予算になりますか?
オフィス移転の予算を考えたいのですが、概算で出す方法はありますか?
ただし、内装・設備工事費用や原状回復費用は物件の状況、指定業者が関係することもあり、金額を出すのが難しいこともあります。難しければオフィスの移転のコンサルティングを依頼するとスムーズに進みます。 オフィス移転に必要な原状回復の坪単価の目安についてはこちら
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