原状回復工事の見積チェックポイント【電気設備工事の労務費】OWNEDMEDIA

原状回復工事の見積チェックポイント【電気設備工事の労務費】

  • 2023.8.24
原状回復工事の見積チェックポイント【電気設備工事の労務費】

電気設備工事の労務費(電工労務費)は、実際に必要な人工より多く計上されているケースが多く、見積が適正かどうかを確認する際の重要なチェックポイントです。

労務費の算出方法

B工事業者見積にある電工労務費の約8割が「一式」の金額で記載されており、何人工での工事なのかが隠されている場合が多いです。

そのような場合には、一式の金額を1人工あたりの労務費(労務単価)で割り、人工を計算する必要があります。

労務単価の算出方法

弊社の場合、国土交通省が発表している「公共工事設計労務単価データ」を参考にしています。

〈参考データはこちら: https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001587029.pdf

データによると、令和5年現在、東京都の電工労務単価は、【1人工あたり¥28,800】です。

オフィスのような民間工事は、公共工事の約2~3割増しの金額になることが多い為、【1人工あたり¥34,560】を労務単価の基準としています。

(その他、当社にて監修した2000件以上の原状回復工事見積データや、

ゼネコン担当者への労務単価のヒアリング結果等、複数の観点から適正労務費を査定しています。 )

過剰請求されていたお客様の事例

我々が過去にコンサルティングしたお客様で、電工労務費が過剰に請求されていた事例をご紹介します。

コンセント設備工事の過剰請求

大手ベアリングメーカー会社様からご依頼いただいた減額プロジェクトで、B工事業者見積のコンセント設備工事「一式:¥350,000」、人工にすると10人工の工事として計上されていました。

しかし、弊社の協力会社にその工事を分離したところ、なんとたったの1人工でできる工事でした。

この差について、B工事会社であるT工務店の担当者に尋ねると、「大手サブコン会社が工事をするから(高くなる)」と納得できない理由を説明されましたが、工事を分離できたことにより、工事費を大幅に圧縮することができました。

LAN配線等撤去工事の過剰請求

コンサルティング会社様からご依頼いただいた減額プロジェクトで、B工事見積のLAN配線等撤去工事の電工費が高額でした。その理由は、労務単価が高く、また、ビルの管理会社が変わってから初めての原状回復工事だったため、安全を見て、人工や工程が多めに見積もられていました。

金額調整だけではお客様の納得のいく金額には至らなかったため、管理会社と再度協議したところ、「管理料を支払ってくれるなら、下請け工事会社を変更してもよい」という話になり、下請け業者を弊社の協力会社に変更しました。

それにより、労務単価は適正金額になり、人工や工程は半分に抑えることができ、それに伴い、交通費や駐車場代も一緒に圧縮することができました。

コンセント設備工事の過剰請求

予備校運営会社様からご依頼いただいた減額プロジェクトで、B工事見積のコンセント設備工事の電工費が「一式:¥350,000」、人工にすると10人工の工事として計上されていました。

入居時、コンセント設備工事はお客様が手配した工事会社で工事されたため、原状回復工事の際もC工事として行いたいという意向がありました。

本件のB工事会社は大手ディベロッパーであるM地所で、通常は賃貸借契約書に書かれている通り、オーナーが指定する業者で原状回復工事をするのが一般的ですが、

・契約書が古く、原状回復基準の記載がなかった

・お客様がこのビルに長く入居していた

・オーナーが個人企業(リート物件ではない)だったので、変更の確認がスムーズだった

・全国に拠点を展開している大企業のお客様だったので、今後も別の拠点でM地所のビルに入居する可能性があった

上記の条件が重なり、M地所の物件では非常に珍しく、お客様の意向通り、コンセント設備工事を分離することができました。

その結果、工事費は約¥170,000、B工事見積の半分以下の金額に収めることができ、大幅な減額に成功しました。

見積の適正チェックは必須

原状回復工事の相場は曖昧でトラブルも多い

このように、電工労務費は、労務単価が適正な金額ではなかったり、実際にかかる人工や工程よりも過剰に計上されているケースがよく見受けられるため、見積の適正チェックは必須です。

「見積書の読み解き方が分からない」「単価や人工を細かく確認する時間がない・・」という方は、是非、弊社の適正査定サービスをご利用ください。

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この記事のまとめ

この記事を書いた人

ディレクター 柳澤 英一郎

Leasing Innovationの設立に伴い参画。B工事のコンサルティング会社で経験を積み、3,000社以上の査定を行っており、大手監査法人の大規模統合移転の退去プロジェクト等の実績を持つ。

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